扶桑工業 機械事業部の社会貢献

地質調査がどのような場面で実施されるか、ご存じでしょうか?
まず、一番イメージしやすいのは 建設・インフラ関連 における地質調査です。
■建設・インフラ関連■
・建物や構造物の建設前調査
高層ビル、橋、ダム、トンネルなどの建設予定地で、地盤の強度や安定性を確認する。
・道路や鉄道の敷設前調査
道路や鉄道の建設前に、地盤沈下や地滑りのリスクを評価する。
・地盤改良の必要性の判断
軟弱地盤かどうかを調査し、地盤改良の必要性を判断する。
「建物を建てる際に地盤を調査する必要があるの?」
「地盤なんてどこも同じでは?」
そう思われる方もいるかもしれません。
しかし、実は 日本では地盤調査が非常に重要 です。
地盤の強度によっては、建物の安全性に大きく影響を及ぼすため、慎重な調査が欠かせません。
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なぜ日本では地質調査が必要なのか?
日本は「災害大国」と呼ばれるほど、自然災害のリスクが高い国です。
その背景を理解することが、地質調査の重要性を知る第一歩となります。
■災害大国・日本における主な自然災害■
・地震 世界第4位の発生回数
・台風 世界第3位の上陸数
・降水量 世界平均の約2倍
このような環境において、安全なインフラや建物を築くために不可欠なのが地質調査です。
日本の地盤は「複雑で不安定」— その理由
日本の地盤が不安定になりやすいのには、次のような理由があります。
①海に囲まれ、軟弱な地盤が多い
日本は島国であり、河川や海岸沿いには砂や粘土が堆積した軟弱地盤が広がっています。
②プレートがぶつかり、地殻変動が活発
日本は「ユーラシアプレート」「北米プレート」「太平洋プレート」「フィリピン海プレート」の4つが衝突する地点に位置しており、地殻変動が活発で複雑な地層の形成をしています。
③山が多く、土砂が流れやすい
日本の国土の約7割は山地であり、土砂崩れや地すべりが発生しやすい地形となっています。
さらに、山から流れ出た土砂が地殻変動によってできた地形に堆積し、一見すると平坦に見える場所でも、地下には複雑な地層が形成されていることがあります。
④埋立地が多く、液状化のリスクも
東京湾や大阪湾などの埋立地は人工的に造成された土地であり、特に地震時の液状化現象が懸念されます。
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地質調査を怠るとどうなるのか?— ピサの斜塔の失敗から学ぶ
「地盤なんてどこでも同じでは?」
そう思っていると、建物の安全性に大きな影響を及ぼすことがあります。
その代表例が、世界的に有名な「ピサの斜塔」です。
実は、この建物は地質調査を十分に行わずに建設されたため、大きな問題を抱えることになりました。
ピサの斜塔が傾いた理由
ピサの斜塔は、1173年にイタリアのピサで建設が始まりました。
しかし、建設開始からわずか数年で塔が傾き始めたのです。
その原因は、地盤の弱さでした。
建設地は 柔らかい粘土層と砂層 の上にあり、地盤が不均等に沈下してしまった
事前に地盤の強度を調査していなかったため、適切な基礎工事ができなかった
結果として、塔の片側だけが沈み、現在のように大きく傾くことになったのです。
その後、どのように対策したのか?
斜塔の崩壊を防ぐために、何世紀にもわたって様々な補修工事が行われました。
1990年代には 地盤改良や塔の補強作業 が実施され、現在は安全性が確保されています。
しかし、最初から 地質調査をしっかり行い、適切な基礎設計をしていれば、こうした大規模な修正工事は不要だった かもしれません。